なぜ、ビスポークを?case.15

なぜ、ビスポークを?

ビスポーク=オーダー
と、一言でまとめてもオーダーする理由やこだわりは人それぞれ。

“なぜビスポークを?” と題して
オーダーを決めた理由や仕様をはじめとしたこだわり、色々な想いをインタビュー形式に伺いご紹介。
少しでもビスポークをする時の参考になれば、と思います。

今回はお客様のSさん。様々な形のオーダーをされているので「コツ」も聞かせてもらえると思います。

(過去の なぜ、ビスポークを?はコチラ)

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NNY:なぜレザーウエアをオーダーをしようと思ったのか

S:既製服ですと、国内のものでもイギリスやイタリアのものでも、肩幅は合っても着丈が合わない、着丈は合っても身幅が合わないなど、必ずどこか一点が致命的に合わない問題に長年悩まされてきました。致命的に一箇所合わない服は、やがて着用しなくなる。そんなことを繰り返しては白目を剥いていたところ、検索でノーノーイエスさんに辿り着きました。そんな動機が半分で、残り半分は「本当に身体に完璧にフィットするライダースなんてありえるのかしら」と、あらぬ疑念がございました。というのもこれまでそんなものと出会ったことが一度もなかったからです。しかし完成服に袖を通した瞬間、一瞬でもそんな考えを抱いた自分をぶん殴りたくなりました。サイズもなにもかも、出来が完璧だったからです。

 

NNY:【革】に対しての想い入れはありますか?

S:映画や音楽を通してレザーを着る人を初めて見たのは小学生の頃、中学生の頃に初めてお小遣いを貯めて古着のライダースを買い、それを着て家出、高校生の頃にもレザーを買っては家出をし、反抗期絶頂を迎えて、それでいてクローゼットの中でもずっと大切にしてきたもの。それがレザーのように思います。
筆箱、靴、鞄、その他最初にレザーで選んだものって買い替えないし、買い替えたいとも思いません。出会いと別れはセットで語られますが、別れるということがそもそもない、数少ないものにレザーが数えられると思います。私の生まれは神戸なのですが、神戸という街自体がレザー製品が多く、革の匂いに街でぶつかることが多い街だったのもあるかもしれません。
だからこそずっと使えるもの、すべて身体に合っているものが欲しいという思いが強かったのかもしれません。ノーノーイエスさんで初めてその願望が叶いました。

 

NNY:着用してみてどうでしたか?

S:ビスポークのスーツを仕立てるのも好きでして、様々なスーツのお仕立てにトライしてきましたが、やはり完成したレザージャケットは別格のフィット感でした。
計測なさる上半身の箇所が通常のビスポーク店よりも数段多い時点で、完成前からかなりの期待を寄せておりましたが、完成物はその期待を上回り、「身体にどこまでも合うレザーの服は存在しない」とかつて思い込んでいた私としましては思わずお受け取り時に涙ぐんでしまったほどです。

NNY:オーダーの体験で印象深かったことや悩んだことはありますか?

S:たとえばレザーの種類やお色・裏地・ボタン・金具のセレクトに迷ったとしても、非常に遊び心に溢れたご提案をその場で幾つもお店でしていただけるので、私自身オーダーの場で悩んだことが一度もございません。時にご提案のパンクさに面食らってしまうこともあり、そこもノーノーイエスさんの可愛らしいところでもあります。
どちらかといえば遊び心のない、黒一色の仕立てを選びがちで、かつ、細かい仕様はノープランで来るような私でも、ノーノーイエスさんの豊富なご提案にいつも楽しませていただいております。カラー選びでも、納得の行くまでサンプルをご用意頂ける、根気強く実直なお心遣いも大変素晴らしいと思っています。いつか橋本さんが「私たちは無理難題のリクエストを言われた方が職人として燃える」と仰ってらしたのは印象に残っております。
このオーダーの間でさえスタッフの皆さんが面白いお話をお聞かせくださるので、夜はバーでも開いて欲しいくらい好きです。一時間や二時間が、一瞬で過ぎてしまう。

 

NNY:1着目にはシングルライダース、2着目にトレンチコート、3~4着目としてチェスターコートをオーダーいただきましたが、レザージャケットをリピートしたくなる理由はありますか?

S:レザーはお気に入りの一着をボロボロになるまで着倒してなんぼ、みたいな服飾哲学は存じ上げているものの、一方その真逆の、欲しいと思った服はその瞬間に手に入れるのが一番良い、なぜなら人生は短い、みたいなテーゼも存在するものと思います。どちらの考えも私は矛盾しないと思っています。
今日は黒以外のレザーで行きたい、ですとか、今日は少しエレガントめで行きたいがやはりレザーで行きたい、ですとか、雨だしあえてレザーで、みたいな気分があると思うんです。そういった極個人的な我儘に、ノーノーイエスさんはとことん楽しんで付き合ってくださることを、豊富な作例や、テーラーの皆さんと初めてお話した時に肌で知りまして、毎度ワクワクしながらリピートさせていただいております。

 

NNY:1~4回目のオーダーを経て掴んだ【コツ】をお聞かせください

S:もっと人間は衣服に対して我儘でよい、自由でよい、遊んでよい、憧れを追いかけてよい、というノーノーイエスさんの不文律の精神に身も心もさらりとお預けするのが、このお店で会得した作法かもしれません。
革靴のビスポークが本当に成功するのは三度目から、という格言をどこかで見たことがあるのですが、ノーノーイエスさんでは初回から確実に上手くいく。あとはどれだけ我儘になれるかだと思います。作例集を拝見するとやはりまだまだ上には上がおられるなと毎度感服しております。

 

NNY:次のジャケットを作るとするならイメージはありますか?

S:グレージュっぽいカラーの、スエードのダブルジャケットが欲しいなと考えています。2~4着目が、やや私の中ではハード寄りでしたので、5着目はものすごく優しそうな(授業参観にまで行けそうなくらい優しそうな)人に見られたい願望が出てきました。

NNY:ありがとうございました!

 

※BespokeBookⅥ掲載インタビューにオフショットを追加してブログに掲載させて頂いております。

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