大正から令和まで。今も糸を編む

今シーズン使用する素材の生産背景を見にやってきたのは千葉県佐原町にある小野莫大小工業の工場さん。
パワースポットとしても知られる香取神宮の最寄り駅、近くには小江戸広がる佐原駅から徒歩10分程度のところにその工場があります。

工場紹介の前にまず小野莫大小工業のご紹介を致します。

小野莫大小工業とは

関東大震災の翌年、1924年(大正13年)創業者により東京都江戸川区平井にて吊り編み機を用いた丸編みメリヤス生地の編立て工場を創業。(莫大小=メリヤス=編み物(ニット)の古語)

当時、東京には編み機を製造する会社はなく、
編みキズ等の無い高品質な生地を編む事と高まる需要に安定的に応えるために、
針から開発した独自の丸編み機「小野式フライス編機」を完成させ
今日でも技術向上・品質向上のため探求を続けて
独自の素材開発を行っておりメゾンブランドも愛用する老舗の生地メーカー。

実際にオノメリヤス独自開発の編み機「小野式フライス編機」も稼働↓

小野式フライス編機よりも何倍も大きい編み機も稼働しており、
工場の頭上には編み機に続く何百本もの糸が絡むことなく行き渡り、
回転しながら筒状の編地(丸編み)になっていく過程を実際に見せていただきました。

構造がどこか昔懐かしのリリヤンにも似ているか否か…。(リリヤン、知ってますか?)

特に重要なのが機械の調整だそうで、編む素材によって糸の本数も変えなければならないため1種類の素材(生地)が出来上がるまで少なくとも1日がかり。

ちなみに海外では毎回糸調子は変えず一度設定したらそれきりだそうですが、
オノメリヤスさんはここにもこだわりを持っています。
季節や気温によって糸調子が変わるため熟練の職人さんが行っても機械調整だけで半日以上もかかるそう。
(よく映画とかで聞くセリフの「機械の気分」「機械の個性」というのも本当にあるみたいです。)

糸の巻き方が一箇所でも異なってしまえば編んでる生地自体が台無しになってしまうためこの作業はとても重要なんだそうです。

↓ここで、1本の糸が何十何百と纏まり、編まれて生地として生まれます。

↓神経を研ぎ澄まし編まれた生地は次に検反機で人の手によって
1反=ロールずつこのように検品が行われます。

1反につき、最低でも2回。
織りが細かい素材は最高4回の検品が行われます。

近年ではセンサーなどでピッと検知し、それだけで完結するイメージもありますが、重要な部分こそ時間を費やし人の手を介しています。

そこは革づくりと通ずるところがありどこか親近感を感じました。原材料自体も革と同じ“天然素材”ですのでそれらの魅力に気づけるのは同じ生き物である私たちなのかもしれません。このように色々な背景を知れば知るほど、そのものが愛おしくなり大切に想います。

次回記事では、【オノメリヤス独自の素材について】お届け致します。