ヌメ革ができるまで / ピット槽鞣し

 

 

皮から革へ

 

日本における革製品は、いつからだろう。

坂本龍馬が日本人ではじめて革靴を履いたっていうくらいで

世界的にみて、革製品の歴史が浅い。

浅いというより、必要としてこなかったという表現が正しいのかもしれません。

 

日本でも古来より、が使われている。

正倉院から白なめしが見つかっているのもそう。

文献上では、いわゆる原始人時代から唾液で皮を鞣した痕跡がいろいろと残っているそうだが。

 

身近にあるけれど、

意外と知られていない革の世界をご紹介したいと思います。

 

まず現代において

一般に広まった要因は、軍事産業下である。産業として成立。

ここ姫路でも航空事業の一貫として誕生した

創業109年株式会社山陽さんがある。

革を知らなくとも、タンナーの存在を認知していなくとも

姫路の大きな煙突があるところ、と言えばタクシーの運転手もわかってくれるそうな。

 

皮から革へのほとんどの加工を自社で行なっている日本でも有数の皮革タンナーさん。

日本に数社しかないピット槽で鞣しをしていることでも業界では有名だ。

ちなみに栃木レザーさんが特に有名ですが、触れた人の好き嫌い程度の個人差くらい

 



 

鞣しとヌメ革について



皮から革へ、腐らないようにするのが鞣すことですが

この方法は大きく3つに分けられます。

タンニン鞣し、クローム鞣し、またはその混合。

 

ピット槽鞣しはタンニン鞣しのなかの一つの方法。(ほかにタイコで回す方法があります)

植物の樹脂タンニンが入った槽に漬け込む手法。

(皮の繊維構造とタンニンの結合)

イタリアでは廃れた説がありますが、

生産性の問題でピット槽に変わる技術が進化しているのでは、と推測をしている。

 

ピット槽鞣しとタンニン鞣しでは、かかる時間が大きく異なる。

漬け込む期間だけで30日要する。

タイコで回すタンニン鞣しは、ぐるぐると回し叩きつけられるので

繊維がほぐれてしまうが、約2日で完成。

100%植物性で鞣されたタンニン革、ピット槽で鞣された革が正しくはヌメ革と称される。

(色が付いていても)

 

 

 

なぜピット槽鞣しをするのか?



それでできた革製品が優れていて、長く使えるから。

 

一長一短であるが、クローム鞣しも優れている点が多い。

向き不向きと、時間もかからないし、安く提供できる経済面と

滑らかで伸縮のよさがあり、丈夫である。

歴史的にも100年前にドイツで開発された新しい製法。世界の革の9割程を占める。

 

このブログでは、あまりピットピット言うのはよします。

売り手として、よりは

使う側としてあまり関係がないからです。

 

想像してほしい。

すごく手間のかかった醤油やお酒を。

その製法を語られても、味や値段、パッケージなどのブランディングで選ばれる訳で

美味しくて安ければ別にいいのではないだろうか。

 

あ、ピット槽でつくられてるんだ!じゃ買おうとはならない。ですよね。

 

あくまで味が美味しくて、

その理由を探して、知りたくなるのが人の常。

 

 

話が逸れましたが

うちで取り扱いのあるピット槽鞣し革は

所作ブライドルシリーズ姫路ピット蒔 maki

他社ピットでは、ベーシックシリーズがあげられる。

 

時間をかけてじっくり鞣しているから

自然のままの風合いが残り、革繊維が固く締まっている。

切りっぱなしの所作には、コバの毛羽立ちが少なくぴったりかもしれないし

油分が多く含まれているので、曲げに強い。まさに抜群の相性。

使えば使うほどユーザーの元で育つ。丈夫でコシがある。

化学薬品を使わず、環境に優しい。



手間をかけるものづくりの歴史



先述のとおり、時間がかかるのがデメリットの一つとしてあげられるが

どうだろう?

 

世界的にみても珍しいピット槽鞣しではあるが

日本刀や日本酒、和紙など

世界に類を見ない製法、伝統として日本には存在しているではないか。

島国特有の気質かもしれないが、時代に逆行するような

手間のかかるものづくりが歴史として存在する。

 

産業として成立しているのか、って話になるかもしれないが

これらは海外からの評価がしっかりと確かにある。

そういえば、挙げたらいくつかでてくる。アニメや漫画とか。あとなんだろう。

 

あまりに身近すぎて、そういう背景が読み飛ばされていると思うし

あまりに仕方ない話だとも思う。

 

自分の生活、日常には関係ないから。

わかる人にはわかるではあまりに少ないし、さみしく思う。

 

動物の皮だって、食用の副産物として革として有効活用されていることも知られていない。

(むしろ誰も教えてくれない)

 

本音を言うと、長く使えるものじゃないとエコではない

そんなもの世に溢れている。

 

僕としては、

日本において数少ない所作ユーザーやブログをお読み頂いている方の生活が

より豊かになると嬉しいし、

それが書く価値、仕事をする意味だと思っている。

なので、自分の目でみて

みなさんと共有したい、共有しなくてはと思った次第。

 

 


https://youtu.be/eEJMsV04Y-k

※動画は下記記載の工程の一部




皮から革へ / 鞣しの工程

 

以下に動物の皮が革に変わるまでの工程をざっと書く

 

原皮(北米産が多い)→ 保管のため塩漬け → タイコで塩や汚れを落とす → カット(背割り)

→首回りにつく油分を落とす → 石灰づけ(膨張して毛が除かれる。不要なタンパク質を分解)

※その昔、脱毛のあと採れる牛脂は石鹸に使われていたそうだ

→脱灰、タイコまわし。銀面(表面)を滑らかに → タイコで回す or ピット槽につける

※ピット槽につけたあとは水分をとりタンニンを入れ、4時間タイコを回す

→屋内でシワを伸ばして10日程干す。自然乾燥必須。

→ヌメ革の完成

→染色やプレスしたり、オイルを入れるなどの製品加工へ

 

 


※冷気がある原皮の保管場所 思ったより鼻につく匂いがしなかった

 

※ピット槽の赤っぽい色 約70程の革がぶら下げられる。この手間だけでも相当なものだ

 

※タイコ(またはドラム)は鞣しや染色を行うタンナー工場では必須の設備。木製。大量に水を使い、原皮の水洗いやなめし・染色などの工程で活躍。タイコ内側にある突起物に皮が引っかかることで、しっかり混ざり浸透させます。

 

 

もし興味を持たれたなら、いろいろと検索してみてほしい。

わかりやすく掲載しているものがあって、ちょっとした時間と手間をかければ

誰でも簡単に知ることができます。

 

みなさまの身近にある革製品。

背景を知っていると見え方が変わるし、選び方の幅が広がると思う。

 

ちなみに

革製品を扱うお店さんで

これはピット槽鞣しですか?って聞くのはやめてあげてくださいね。笑

たぶんわからないし、意味がないから。

(僕もタンニン革だけ見て、ピット槽か否かわかりません)

 

大事なことは、みなさまの元で

使って育つ、長く使えるものが良い革なんじゃないかな。って思います。

 

そういうお役立ちになれば、凄く幸いです。

 

 

nakabayashi

 

 

 

 

Special Thanks 株式会社山陽

撮影取材にご協力いただきました。

この場をお借りして、御礼申し上げます。ありがとうございます。

 

 

 

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